“撮るだけ”で終わらせるな! 進むドローンの防災活用 課題はデータ分析 日本企業の挑戦

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ドローンやUAV(無人航空機)を災害対策に活用する動きが進むなか、その撮影データの利活用が課題に。この問題に取り組むとともに、データ分析で自治体の避難勧告判断にも寄与した実績を持つ企業に取材、今後の可能性も見えてきた。

自治体の避難勧告判断に寄与したテラ・ラボのデータ分析

テラ・ラボが開発した翼長4mUAVの飛行試験機(竹内 修撮影)。
テラ・ラボが開発した翼長4mUAVの飛行試験機(竹内 修撮影)。

 テラ・ラボが研究開発拠点を置く福島県南相馬市は、2019年10月に発生した台風19号(令和元年東日本台風)により土砂災害に見舞われた。その際、テラ・ラボはドローンに自社製のセンサーを搭載して3次元データを収集し、そのデータを基に、流出した土砂量の計算と、土砂災害と水害が同時に発生した原因を分析し、さらに降雨量が増加した場合の災害発生の可能性を予測している。

 南相馬市は台風19号通過の翌週も大雨に見舞われたが、同市はテラ・ラボの予測を基に避難勧告を発出し、人的被害の発生を未然に防ぐという成果を挙げている。

 こうした実績も踏まえ、テラ・ラボは2021年4月22日に、南相馬市の復興工業団地内へUAVの新工場「TERRA BASE Fukushima -Umi to Sora-」を建設すると発表した。これは、地域の防災拠点としても機能するという。

「TERRA BASE Fukushima -Umi to Sora-」は翼長4mの無人機であれば8機、同社が開発中の翼長8m大型UAVでも4機が収容できる、日本では他に類を見ない規模だ。加えて内部にはUAVの制御だけでなく、UAVが収集したデータの解析を行う管制室と、大規模災害発生時には関係各機関と連携し、意思決定を行えるだけの情報を処理できる「危機管理対策室」も設けられる予定となっている。

 日本では将来、南海トラフ地震の発生が予想されており、また気候変動に伴う豪雨災害なども増加の一途をたどっている。テラ・ラボは日本国内に同様の施設を複数設けて、日本の災害対策体制の強化を図るとともに、将来的には海外にも普及させていく意向を示している。

 ドローンやUAV本体では、残念ながら日本は欧米や中国の後塵を拝しているが、筆者(竹内 修:航空ジャーナリスト)の知る限り、欧米や中国には今のところ、安価で利用しやすいデータの分配システムを含めたパッケージとしてUAVを提案している企業は存在しない。テラ・ラボの取り組みは、日本の防災力強化だけでなく、UAVの国際市場における日本の競争力の観点からも、注目に値する。

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