「SL = オワコン」で本当にいいのか? 「人吉」は24年消滅、ロマンと現実で揺らぐ鉄道遺産死守という大義名分

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「SL人吉」58654号機の運行が2024年3月、終了する。SL復活運転は困難を抱え、運行終了が相次いでいる。未来はあるのか。

どうなる「SLやまぐち号」

SLやまぐち号(画像:写真AC)
SLやまぐち号(画像:写真AC)

 JR西日本の新山口~津和野間で運行している「SLやまぐち号」という列車がある。国鉄時代から存在する列車で、人気も高い。現代に合わせた旧型客車を新造したほどだ。

 そのSLやまぐち号には、もともとあったC57形1号機に加え、2017年にはD51形200号機も使用されるようになった。ところが、現在ではSLでの運行は行われていない。

 C57形1号機は2020年10月にシリンダートラブルを起こし、その直後はディーゼル機関車DD51形が代行。のちに、SLのD51形200号機が代行するようになった。C51形1号機は梅小路運転区に送られ、修理のめどはたっていない。

 D51形200号機は2022年5月、炭水車の台車に亀裂が入っていることがわかり、ディーゼル機関車(DL)DD51形での代行となった。6月中旬をめどに運転を再開すると当初はしていたが、11月20日までDLによる運転となっていた。通常、SLやまぐち号は冬季に運転せず、クリスマスや正月に運転する特別列車もDLによるものとなっている。つまり、いつSL列車が戻って来るかわからない状況なのだ。

 古い機械ゆえに故障が多発し、維持管理も難しく、そのための人員も多くない。SL運行の事業者が抱えるやっかいなスパイラルにはまってしまった状況だ。

大井川鐵道の困難

11月30日に終了した、大井川鐵道に関するクラウドファンディング(画像:大井川鐵道、READYFOR)
11月30日に終了した、大井川鐵道に関するクラウドファンディング(画像:大井川鐵道、READYFOR)

 静岡県に大井川鐵道という鉄道会社がある。この会社では、観光客向けのSL運行を主たる事業とし、その事業の収入で地元向けの輸送への資金を稼いでいる。

 SL運行は大井川鐡道にとって生命線であり、経営上欠かせない存在となっている。しかし、SLはメンテナンス上の問題を抱えるため、電気機関車(EL)による運転も最近は増えている。国鉄時代のように、旧型客車列車を再現するというものだ。

 大井川鐵道には複数のSLが存在する。それに加え、静態保存からの動態復元技術を伝承するために、C56形135号機を導入することにした。この機関車は兵庫県加東市の播磨中央公園に保存されていた。SLの不具合が多発するため、ELによる代行が増えていく。SL技術の伝承が必要な状況である。しかし企業体力は消耗している状態だ。

 コロナ禍が加わり、経営状況悪化の中でこの機関車を復活させるため、大井川鐵道はクラウドファンディングを行っていた(11月30日終了。支援金額は8409万8200円)。そのさなかの2022年9月、大井川鐵道は発生した台風15号で被災し、全線復旧までは時間がかかる状態となっている。

 大井川鐵道は鉄道遺産を守るという大義名分のほかに、企業利益の多くをSL列車運行で稼いでいるという現実もある。どちらも守るため、機関車を集め、客車を集めと、大変な労力をかけている。

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