創業50年のタクシー会社が、まったく畑違いの「きくらげ」栽培に取り組み続けているワケ
肉厚プリプリ、希少な国産きくらげ

さいたま市に本社を置く日栄交通は、コロナ禍を乗り切るために会社の空き地できくらげ栽培を開始。以降毎年、生産量を拡大させてきた。このたびさらなる事業展開として、きくらげ栽培事業に空き家を活用することを発表した。
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同社は1971(昭和46)年設立。事業内容には「タクシー旅客運送業」に加えて「きくらげ生産販売」を掲げている。
2020年、新型コロナ感染拡大の影響で、タクシー業務の売り上げは最大8割減まで落ち込んだ。危機的状況を打開するため社内でアイデアを出し合い、ひとりの従業員から提案のあった「きくらげの栽培」に着手した。
栽培場所は会社のシャワー室からスタート。翌年には車庫の空き地に専用ハウスを建築した。肉厚でプリプリな食感から、商品名は「あの日のはごたえ」と付けた。
「あの日のはごたえ」はスーパーや埼玉県内の飲食店、またさいたま市内の小中学校の給食に使われている。市場に出回るきくらげの90%が中国産の輸入品というなか、地場産という違いをアピールして少しずつファンを獲得している。
ハウスでの栽培分は毎回売り切れる人気を博し、2022年6月にはプレハブを設置して通年栽培に着手した。同年8月、同県桶川市に栽培向けの空き家を購入し、DIYによる改装に取り組んでいる。
「社会課題である『空き家』の活用にも取り組みながら、きくらげの豊富な栄養素や生きくらげのおいしさを世の中に広めていきたい」と同社。現在、クラウドファンディングでの支援を受け付けている。