東京一極集中を緩和? 知られざる第五の環状道路「核都市広域幹線道路」をご存じか
見えた一筋の光

核都市広域幹線道路が夢物語ではないとわかった以上、次に気になるのは全線開通予定時期だ。前述の通り、あくまでも「どの自治体を通過するのか」程度しか決まっていない区間が大半を占めているのがこの路線だ。全線開通予定時期は神のみぞ知る……ということになる。
これまで一部の自治体において、核都市広域幹線道路関連と考えられる一部区間の用地確保や都市計画への組み込みは見受けられた。そうした細かな動きはあったものの、大きな動きとしては2020年の横浜北西線の開通を最後に、核都市広域幹線道路関連の建設は鳴りを潜めていた。
ところが、2022年に入り本格的に計画が動き始めた。それが、埼玉新都心線の延伸事業である。具体的には、現在同路線の終点となっている「さいたま見沼出入口」から東進し、「東北自動車道」に接続する計画である。
この構想は、以前から存在していたものの、特にさいたま見沼出入口付近一帯には、埼玉県が貴重な自然環境として保全に力を入れている「見沼田圃(たんぼ)」が存在したため、当該区間の建設は自然環境の破壊につながるとしてなかなか計画が前に進まなかった。
そんなさいたま見沼出入口~東北自動車道区間について、ついに国が国土交通省関東地方整備局に対し、事業化に向けた調査という名目で正式に予算配分したのだ。しかも、「核都市広域幹線道路」名義で予算計上されているのである。
核都市広域幹線道路の全線開通についてまだまだ先が見えないなか、当該区間延伸の暁に「核都市広域幹線道路」という名称を冠する可能性は低いだろう。ただ、今回の予算計上は国が本腰を入れて核都市広域幹線道路に着手しようとする姿勢の表れである、と考えることはできる。
2020年の横浜北西線開通を最後に、遅々として進まなかった核都市広域幹線道路建設計画。その計画に、一筋の光が差したのだ。そしてその光こそ、核都市広域幹線道路の最大のミッションである業務核都市同士を円滑に結ぶ道路づくりの道しるべであり、業務核都市が東京一極集中を解消する受け皿として本格的に機能する幕開けであると言えるのだ。