東京一極集中を緩和? 知られざる第五の環状道路「核都市広域幹線道路」をご存じか

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東京外環自動車道と首都圏中央連絡自動車道の間を縫うように建設が計画されている「核都市広域幹線道路」。この道路の整備の目的と効果とは?

最大のミッションとは

国道16号線(画像:(C)Google)
国道16号線(画像:(C)Google)

 通過予定の自治体を見ると、共通点がふたつある。

 ひとつ目は、いずれの自治体も「業務核都市」に指定されていることである。業務核都市とは、あらゆる分野における東京一極集中を避けるため、従来東京が担っていた諸機能を周辺の自治体にある程度分散させ、その受け皿となるべく国に指定された自治体だ。要するに、東京を取り囲むように点在し、それぞれの地域で中心的な役割を果たしている主要都市のことである。

 ふたつ目は、列挙したほとんどの自治体において、ある主要道路が自治体内を通過、あるいは近傍の自治体を通過していることだ。その道路とは「国道16号」。別名「東京環状」とも呼ばれるこの路線は、文字通り東京の周りを取り囲む一般国道である。ここで、

「国道16号があるなら、核都市広域幹線道路は不要ではないか」

との疑問が浮かぶ人もいるだろう。

 確かに、同じような場所に同じような規格の道路の建設は不要だろう。しかしながら、国道16号はあくまでも“一般国道”だ。

 実は、圏央道も一般国道だ。大部分を「国道468号」として指定されているが、その実態は世間一般でイメージされる国道とはかけ離れている。厳密には高規格幹線道路に指定され、一般国道ではあるものの自動車専用道路の扱いとなっている。要するに、信号機が無く、立体交差が連続する高速道路と変わりないのである。

 そんな“一般国道マジック”の事例を踏まえ、改めて国道16号を見てみよう。確かに「保土ヶ谷バイパス」や「八王子バイパス」といった、高速道路に引けを取らない区間や立体交差区間も一部存在する。しかしながら、その大半の区間は信号機が乱立する平面交差区間だ。

 先にも述べたが国道16号は、業務核都市あるいはその近傍の自治体を通過する路線である。それにもかかわらず、路線の大半を平面交差が占めているのは、渋滞が発生しやすい路線であるということだ。

 このような状態では、業務核都市同士を円滑に結ぶことは到底できないだろう。それは日頃の生活や経済に悪影響を及ぼすだけではなく、有事の際に業務核都市同士の連携をスムーズに取ることに支障をきたしかねない。

 事実、国道16号では平日・休日問わず、平面交差の連続区間を中心に連日慢性的な渋滞を引き起こしている。そんな状態が続いている限り、業務核都市が東京一極集中の受け皿という役割を果たすのは夢のまた夢だ。

 こうした状況を打破すべく、核都市広域幹線道路が計画されているのである。これが、首都圏第五の環状道路と言われる、核都市広域幹線道路の整備が求められるワケだ。

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