路面電車が駅ビル2階に乗り入れ 「広島駅南口」の再開発大実験は吉と出るのか、凶と出るのか?
広島市のJR広島駅南口の再開発が進んでいる。目玉になっているのが、広島電鉄の路面電車の大改造だ。地上にある路面電車が高架で駅に乗り入れ、2階で乗り換えできるようになる。
再開発は大きな実験

広島駅周辺の再開発は1990年代から着手されていた。福屋広島駅前店が入居するビルは、1999(平成11)年開業だ。当時、広島市は財政非常事態を宣言するほどの状況だった(2003年)。そのため、マツダスタジアムのにぎわいがやってくるまで再開発計画は停滞を続けていた。
マツダスタジアムが停滞していた再開発を一気に加速させた事象からは、再開発には目玉となる施設が重要であることが分かる。駅南口の46階建てのマンションが建つエリアは21世紀になっても昭和の雰囲気がそのまま残った「愛友市場」が存在していたことが、今となっては信じがたい。
再開発によって、現在の広島駅南口は人の集まる場に変化している。デパートに加えてエディオンやビックカメラなどの量販店、タワーマンションも建つ。新幹線も停車する駅だが、どこか新興エリアの雰囲気もある不思議な空間だ。
ただ、これは「大実験」といえるだろう。人口119万の街でふたつの繁華街が成立するのか。同様の街づくりをしている都市には熊本市があるが、同市よりも人口が多く、ふたつのエリアは近い。福岡市より人口が少なく、エリア間は遠い。広島市の人口規模と面積では、どのような結果をもたらすことになるのだろうか。