ホンダ「韓国撤退」 空いた座を狙う新勢力の影、次に覇権を握るのは誰だ? 輸入車「2割」時代の構造変化

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本田技研工業が韓国での四輪販売を終了する。販売はピーク時の1万台から2025年に1458台へ急減し、巨額赤字2.5兆円の中での撤退判断だ。輸入車比率2割超・EV比率3割に迫る市場変化のなか、日本勢の競争力低下と中国勢台頭の構図が浮かび上がる。

活況なEV市場と製品戦略の不整合

韓国市場における輸入車比率の推移(画像:KAIDA)
韓国市場における輸入車比率の推移(画像:KAIDA)

 韓国の輸入車市場は、今まさに勢いづいている。韓国輸入自動車協会(KAIDA)の統計を見ると、2025年の新車登録台数約151万台のうち、輸入車が占める割合は約31万台。統計が始まって以来、その比率が初めて

「2割」

の大台に乗った。2026年に入ってからも、この流れは止まらない。1月から3月期の販売台数は8万2120台と、前年を35%も上回る好調ぶりだ。特にBMWやメルセデス・ベンツ、あるいはテスラやボルボのように、電動化を力強く進めるブランドが、質の高い暮らしや環境への配慮を重んじる層の支持を集めている。電気自動車(EV)の浸透も目覚ましく、2026年3月にはEVの販売が4.2万台と新車全体の3割に迫った。第1四半期の伸び率は前年同期比で153%に達し、月間1万台をさばくテスラなどの輸入勢が市場を引っ張っている状況だ。

 こうした地殻変動を前に、ホンダの動きは鈍かったといわざるを得ない。用意されたのは「アコード」や「CR-V」といった、エンジン車とハイブリッド車を軸とするわずか4車種。韓国の買い手が車を移動の道具ではなく、生活の場やデジタル端末の延長として捉え始めるなかで、機械としての完成度に頼りすぎたホンダは、新しい需要を掴みきれなかった。EVへの移行が加速するなかで、ソフトウェアによる機能の進化を見込めないモデルを並べ続けたことは、技術の停滞という印象を買い手に植え付けた。

 経営の効率を高めるために、収益の上がらない市場を整理し、力を注ぐべき場所を絞り込む判断そのものは、真っ当だ。しかし、韓国市場が求める変化の速さについていけず、脱落した事実は見過ごせない。車種を絞りすぎたホンダの姿勢は、移り変わる人々の暮らしを、製品という目に見える壁で自ら遮ってしまったようにも映る。

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