「単なる“顔”ではありません」 トヨタの快挙が突きつけた現実――意匠はブランドを守る盾か、それとも利益装置か?
2026年4月10日、特許庁は「知財功労賞」の受賞者を発表した。トヨタは完成車メーカーとして初めて意匠分野で表彰され、前面デザインを資産として扱う姿勢が評価された。フロント造形の守り方と、LEDやソフト活用による可変表現が競い合う中、業界は大きな転換点を迎えている。
光による外観表現の広がり

発光ダイオード(LED)を駆使した装飾や、歩行者との意思疎通を狙った仕掛けが目立ち始めた。差別化の主戦場は部品の形から、光の動きや表示といった演出へと移っている。BMWが「i7」や「XM」に採用した「アイコニック・グロー」は、夜間やドアの開閉時といった場面に応じて点灯を制御し、品格と存在感を両立させている。
メルセデス・ベンツもEV「GLC」に100個を超えるLEDを仕込み、多彩な演出を試みる。中国のジーカーはさらに進み、「007」に1711個ものLEDを並べた表示機能を備え、音楽に合わせた映像や文字まで映し出す。こうした機能は、通信を介して新しい演出プログラムを有料配信するような、息の長い収益モデルの可能性を秘めている。
一方で、部品の高度化は持ち主の負担増を招く。千個単位のダイオードを詰め込んだパーツは、わずかな衝撃でも丸ごと交換を迫られるケースが多く、修理費を跳ね上げる。保険料の上昇など維持費を重くする懸念があり、ブランドに新しさをもたらす進化の傍らで、車を保ち続けるための経済的なハードルも上がりつつある。