なぜ自動車メーカーは「戦争ビジネス」に向かうのか? GM・フォードが直面する稼働率7割台の現実、日本の武器輸出解禁どうなる
- キーワード :
- 自動車
GM・フォードへの米国防総省の協力要請、VW工場の防空転用、日本の武器輸出見直し。EV減速で稼働率73~79%に沈む自動車工場が、防衛需要という国家予算市場へ活路を求め始めている。
国防と民間生産の接近

米国の複数メディアは2026年4月16日、国防総省がGMやフォードに対し、防衛分野で中心的な役割を担うよう要請したと報じた。国防総省幹部は、メアリー・バーラ氏やジム・ファーリー氏らトップと、兵器や軍事装備の生産体制について具体的な協議を重ねている。国家が民間の巨大資本に頼る背景には、切迫した
「武器在庫の減少」
がある。イスラエルやウクライナへの支援に加え、イランでの「Epic Fury(壮絶な怒り)」作戦によって米国内の在庫が大きく減り、国家の生産力が需要に追いつかないため、政府は民間の生産ラインによる供給空白の解消を急いでいる。
欧州でも、フォルクスワーゲン(VW)がオスナブリュック工場をイスラエルのラファエルと協力して転用する協議を進めている。英紙フィナンシャル・タイムズの報道(2026年3月25日付け)によれば、約2300人の従業員を抱える同工場は、2027年に「T-Rocカブリオレ」の生産を終えた後、防空システム「アイアンドーム」に関連する拠点に生まれ変わる案が浮上した。
乗用車の生産拠点が防空システムの製造へと姿を変える象徴的な変化は、欧州製造業の重心が生活の追求から安全保障の確保へと移っていることを物語る。切実な有事対応が、工場の存在意義を塗り替えている。波は日本にも届き、2026年3月7日、高市政権は武器輸出ルールの見直し方針を鮮明にした。木原稔官房長官は記者会見で
「防衛装備移転はわが国に望ましい安全保障環境の創出などのため、重要な政策的手段。早期に実現すべく、検討を加速する」
と語っている(『東京新聞』2026年3月7日付け)。