あなたの愛車の色は何ですか? 「売るならホワイト一択」とよく聞きますが、その選択は本当に自由なのでしょうか

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2025年の世界調査で、車体色の75%はホワイト・ブラック・グレーに集中。資産価値と生産効率が無彩色を押し上げる一方、EV拡大で有彩色も台頭し、色選びは経済合理と自己表現の分岐点となっている。

無彩色中心の市場構成

世界的な色の人気傾向(画像:アクサルタ コーティング システムズ合同会社)
世界的な色の人気傾向(画像:アクサルタ コーティング システムズ合同会社)

 最新の調査から、現在の車体色における勢力図が見えてくる。2025年の世界市場を席巻しているのは、やはり「無彩色」だ。

 首位のホワイトは29%。清潔なイメージが根強く支持され、全体の約3割を占める結果となった。これに続くのが23%のブラックだ。高級感や力強さを求める層から確かな票を集めている。3位には22%でグレーが入り、欧州を起点として落ち着いた雰囲気を好む流れが定着しつつある。

 その一方で、かつては定番だったシルバーが7%にまで落ち込んでいる点は見逃せない。機械的な精密さを重んじるかつての価値観から、よりデジタルな質感を重視する方向へと、人々の感覚が移り変わっている証左といえるだろう。

 色味のある「有彩色」に目を向けると、ブルーが6%で最も選ばれている。レッドやグリーンを抑えてブルーが支持を広げているのは、そこに信頼感や環境への配慮といった印象を重ね合わせる層が多いからだろう。多数派である無彩色の安心感から遠く離れすぎない、ほどよい自己主張の器として、ブルーが機能している。

 世界の自動車のおよそ75%が無彩色の3色に集中している裏側には、市場全体を覆う循環構造がある。何より大きいのは、

「資産価値」

という視点だろう。購入する段階で、すでに数年後の売却価格を前提とする動きが、この傾向を強めている。手放す際に有利なホワイトやブラックが選ばれ、その結果、中古車市場にもまた無彩色が溢れることになる。

 中古車の供給が無彩色に偏れば、自然と需要もそこに集まる。こうして無彩色の価格は安定し、損失を最小限に抑えたい購入者が再び同じ色を手に取る。いまや中古車サイトの検索条件や査定の仕組みそのものが、過去の膨大な実績を土台にして動いている。有彩色が価格面で不利と見なされやすい環境は、すでに出来上がっているといっていい。

 メーカー側の事情も、この流れに拍車をかける。特定の色に注文が集まるほど、塗装工程を切り替える手間は省け、生産の効率は跳ね上がる。メーカーは納期を短くするために無彩色の在庫を厚くし、一刻も早く車を手にしたい消費者はそれを選ぶ。消費者の自由な選択は、供給側の効率を優先した運用の枠内に、いつの間にか収められている。

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