日本車メーカーは台湾の“下請け”に落ちるのか? 鴻海が組み替える日本のものづくりと「中身は鴻海、外側は日本ブランド」構図
三菱電機モビリティ(売上約8000億円)を巡り、鴻海が出資協議に浮上。EV化の進展とともに、完成車開発の主導権が日台連携のもとで揺らぎ始めている。ブルームバーグは2026年1月の入札動向も報じた。
EV普及がもたらす役割変化

EVの広がりによって、車の開発を誰が主導するのかという関係は大きく揺れ始めている。これまでの産業は、大量生産による規模の利点と、現場で積み上げられた技能、系列企業の結びつきを土台に成長してきた。
しかし動力の転換を境に前提は崩れ、価値の中心はソフトと電動技術へと移っている。同時に、開発の速さや変化への追従力、外部との接続のしやすさが、以前より強く求められるようになっている。
鴻海の日本での動きは、その変化を前提にした産業のかたちを示そうとするものに見える。日本の自動車産業が転換の途中にあるなかで、外からの参入という範囲にとどまらず、
「ものづくりの枠組みそのもの」
に影響を及ぼす可能性があるだろう。三菱電機が持っていた技術が鴻海側に取り込まれていく流れは、日本企業が長く維持してきた技術の土台が、外部へと移っていくことを意味するかもしれない。将来、日本の道路を走る車が
「中身は鴻海、外側は日本ブランド」
という形になったとき、それを日本車と呼べるのか――という問いは重く残る。鴻海と日本企業の結びつきが強まるほど、完成車メーカーは自らの判断で車をつくる余地を徐々に狭められ、外部が用意した仕組みの上で事業を進める立場へと近づいていく。
日台の協力の裏側で進むのは、開発の主導が外へ移り、受託生産の大きな流れのなかへ組み込まれていく過程であり、その行方を冷静に見ていく必要がある。