日本車メーカーは台湾の“下請け”に落ちるのか? 鴻海が組み替える日本のものづくりと「中身は鴻海、外側は日本ブランド」構図

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三菱電機モビリティ(売上約8000億円)を巡り、鴻海が出資協議に浮上。EV化の進展とともに、完成車開発の主導権が日台連携のもとで揺らぎ始めている。ブルームバーグは2026年1月の入札動向も報じた。

日本での足場固め進行

シャープ・LDK+(画像:シャープ)
シャープ・LDK+(画像:シャープ)

 鴻海は日本市場での動きを着実に進めている。2025年8月には三菱ふそうトラック・バスと電動バスに関する協力体制を確認し、2026年1月には新たなバス会社の設立で最終合意に達した。新会社は2026年後半に始動し、電動バスに加えて既存のエンジン車の改良にも取り組む計画だ。

 開発から販売までの機能を日本国内に置き、富山県の工場を活用する体制も整えつつある。ただ、このバス事業は日本の複雑な制度や現場運用を理解するための入口という位置づけにとどまる。

 鴻海が主に視線を向けているのは乗用車分野だ。傘下のシャープは2025年の展示会で、鴻海の車両をもとにした「LDK+」を公開した。家電の知見を取り込みながら移動空間としての価値を強調するもので、従来の自動車が前提としてきた走行性能の比重を下げようとする試みでもある。さらに2025年12月には、台湾の納智捷汽車を約7.9億台湾ドル(約40億円)で買収し、販売網の拡張を自前の仕組みで進めている。

 残る焦点は国内の生産拠点だ。2025年11月に公開された「モデルA」は、日本の技術者が形にした車両であり、日本における拠点づくりの意思を示すものとなった。日産の追浜工場をめぐる動きはなお具体化していないが、鴻海は国内での生産体制の構築を諦めていない。

 共同運営を進める三菱電機モビリティの資産は、部品供給の枠を越え、生産現場の人材や技術の蓄積、拠点確保の足がかりとしても働きうる。日本メーカーの資産を取り込みながら、自社の仕組みのもとで生産の主導権を固めていく動きが続いているのだ。

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