日本車メーカーは台湾の“下請け”に落ちるのか? 鴻海が組み替える日本のものづくりと「中身は鴻海、外側は日本ブランド」構図

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三菱電機モビリティ(売上約8000億円)を巡り、鴻海が出資協議に浮上。EV化の進展とともに、完成車開発の主導権が日台連携のもとで揺らぎ始めている。ブルームバーグは2026年1月の入札動向も報じた。

EV中枢部品の掌握

三菱電機モビリティのウェブサイト(画像:三菱電機モビリティ)
三菱電機モビリティのウェブサイト(画像:三菱電機モビリティ)

 三菱電機モビリティが手がけるモーター、電子制御ユニット(ECU)、インバーターは、EVの走行性能や航続距離、安全性を左右する中核部品にあたる。鴻海がこの領域を実質的に取り込むことは、EVの中枢を

「自社の供給網のなかに組み込む」

ことを意味するだろう。自社で築いた基盤の上で、部品の生産から車両の組み立てまでを一体で進めることで、主導権を強めるねらいがあると考えられる。

 鴻海は2025年4月、日本での受託生産事業を進める方針を示した。2027年までに乗用車やバスを日本市場へ投入し、その後はオセアニア市場などへ広げる計画だ。スマートフォンの受託生産で事業領域を拡大してきた同社は、2019年にEV事業への参入を表明した。

 2020年には約600社が参加する共通開発の枠組み「MIH」を立ち上げ、車体構成やソフトの標準化を進めてきた。2024年10月には多目的車「モデルD」などを公表し、実績の積み上げを続けている。

 日本の自動車産業は長く、「系列」と呼ばれる企業間の分業関係のなかで競争力を保ってきた。ただ電動化やソフトによる制御が進むにつれ、その枠組みは揺らいでいる。鴻海が示す新たな枠組みは、日本メーカーが培ってきた技術を共通基盤に取り込み、誰でもEVを生産できる環境を目指すものだ。

 その一方で、生産の主導権が従来の完成車メーカーから離れ、鴻海側の仕組みに寄っていく流れも見え始めているのだ。

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