物流危機の救世主か、沈みゆく巨艦か?――鉄道貨物「増収赤字」という現実、なぜ“5%の壁”を突破できないのか
ドライバー不足で注目が集まる鉄道貨物。輸送量は前年比2.4%増、収益も6.4%伸びたが、分担率はなお5%前後にとどまり、事業は赤字が続く。環境負担やインフラ維持の観点を踏まえ、見落とされてきた価値と持続の課題を問い直す。
渋滞回避と生活環境への影響
鉄道が担う役割として、道路渋滞の回避も挙げられる。鉄道で運んでいる貨物が道路輸送に移れば、その分だけ交通量が増え、渋滞が発生する。これは沿道の生活環境の悪化にもつながる。
有料道路の料金には、こうした環境への影響を踏まえた仕組みが取り入れられている。
例えば首都圏では、大型トラックを湾岸線など住宅の少ない地域へ誘導するため、「環境ロードプライシング割引」という制度が設けられている。このように、環境への負担を抑える目的で輸送の流れを調整する動きは、各国で広がっている。
鉄道貨物の重要な役割は、道路輸送の一部を引き受けることで、渋滞や沿道環境の悪化を防ぐ点にある。そのため、混雑が激しい区間では鉄道輸送の費用を引き下げるといった手法も考えられるが、こうした社会的な効果は経済面で十分に織り込まれていない。