物流危機の救世主か、沈みゆく巨艦か?――鉄道貨物「増収赤字」という現実、なぜ“5%の壁”を突破できないのか
ドライバー不足で注目が集まる鉄道貨物。輸送量は前年比2.4%増、収益も6.4%伸びたが、分担率はなお5%前後にとどまり、事業は赤字が続く。環境負担やインフラ維持の観点を踏まえ、見落とされてきた価値と持続の課題を問い直す。
輸送量増と赤字継続
前述のとおり鉄道貨物の輸送量は伸びているが、これが黒字化に結びついていない点が課題である。鉄道ロジスティクス事業に限れば、直近の2024年度を含め、ほぼ一貫して
「赤字」
が続いており、不動産開発など他事業の収益で補っているのが実情だ。このほかの面でも、決算の数字以上に経営環境は厳しい。
周知のとおり、線路の多くは旅客会社が保有しており、貨物会社はこれに使用料を支払っている。この使用料は政策判断で低く抑えられているが、こうした措置がなくなれば事業の継続は難しくなる。
さらに近年は、整備新幹線の延伸にともない、第三セクターが担う並行在来線を走る区間が増えている。経営基盤の弱い第三セクターに対する使用料は、公的資金で補われている。詳述は避けるが、こうした支えにより赤字の拡大を抑えているのが実態に近い。
現時点では、本州の旅客3社には一定の余力があり、並行在来線も新幹線収入で補う余地があるため、この仕組みは保たれている。しかし、客観的に見れば貨物鉄道網の維持はきわめて不安定な状態にある。
国鉄分割民営化の当時、貨物輸送量はトンベースで現在のほぼ2倍あった。その後、収支の均衡を図るなかで路線の縮小が進められてきた経緯がある。採算を重視する限り、今後も輸送網の縮小は避けにくい。直近では北海道新幹線にともなう並行在来線の扱いが議論となったが、同様の問題は他地域でも起こり得る。