物流危機の救世主か、沈みゆく巨艦か?――鉄道貨物「増収赤字」という現実、なぜ“5%の壁”を突破できないのか

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ドライバー不足で注目が集まる鉄道貨物。輸送量は前年比2.4%増、収益も6.4%伸びたが、分担率はなお5%前後にとどまり、事業は赤字が続く。環境負担やインフラ維持の観点を踏まえ、見落とされてきた価値と持続の課題を問い直す。

価格に織り込まれない環境負担

 外部不経済とは、企業などの経済主体が他者に与える負の影響であり、市場の働きでは調整されない環境汚染や公害などを指す。輸送にともなう温室効果ガスの排出も、その一例である。

 温室効果ガスの排出量は、通常は商品価格に反映されていない。このため、輸送時にCO2を多く排出しても、それだけで価格が高くなることはない。結果として、市場の働きだけではCO2排出の増加を抑えられない。

 鉄道貨物の最大の強みは、CO2やNOx、PMなどの排出が少ない点にある。CO2排出量はトラックの10分の1以下とされ、環境への負担の小ささは他の輸送手段と比べて際立つ。排出量が少ないことは、エネルギーの使い方が効率的であることも意味する。

 鉄道貨物の維持は、こうした外部不経済の問題を抜きにしては論じられない。

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