「一度は姿を消した航路が15年ぶりに復活…」 片道7時間の船旅、本当に乗る価値はあるのか? 新造船就航で変わる室蘭~青森航路とは
津軽海峡フェリーは2023年10月、15年ぶりに室蘭~青森航路を復活させ、新造船「ブルーグレイス」を就航した。片道7時間の長距離航路はトラックドライバーの休息需要に応える一方、一般旅行者向けの割引商品「スーパー海割」で集客も狙う。前年比22万台超のトラック輸送を背景に、航路の収益拡大が本格化する。
室蘭航路の歴史

フェリーを運航する会社にとって、既存船が更新時期に差し掛かっているとしても、新造船は最大の投資となる。同社は室蘭~青森航路を中長期的に有望な航路と判断し、大きな経営決定を下したといえる。
この室蘭~青森航路にはやや特殊な事情がある。室蘭市はフェリー航路の誘致に力を入れてきた歴史があり、1994(平成6)年には東日本フェリーが大規模なフェリーターミナルビルを開業した。最盛期の2002年には、東日本フェリーが室蘭~青森航路、室蘭~八戸航路、室蘭~大洗航路、室蘭~直江津航路を運航していた。筆者も1990年代に室蘭フェリーターミナルを利用したことがあるが、夏季のオンシーズンには相当な賑わいを見せていたと記憶している。
しかし2000年代以降、東日本フェリーの経営破綻や航路廃止が相次ぎ、2008年11月の室蘭~青森航路の廃止で室蘭からフェリー航路が完全に消えた。その後、川崎近海汽船が2018年6月に室蘭~宮古航路を就航させ、10年ぶりに室蘭にフェリー航路が復活したが、室蘭~八戸航路に変更の後、2022年1月に廃止され、再び室蘭から航路は消滅した。
室蘭から航路が消えた最大の理由は、苫小牧との競争に敗れたことである。苫小牧は札幌・道央圏から近く、本州、特に太平洋側からの航路を短縮できることから、室蘭は不利だった。
現在の室蘭~青森航路は、2023年10月に津軽海峡フェリーが15年ぶりに復活させたものである。フェリー航路復活を望んでいた室蘭市の誘致に応じた側面もある。