ガソリン200円台! 「EVに乗れば問題なし」は本当か?――ホルムズ海峡危機が映す日本の依存構造とは
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エネルギー供給体制の課題

議論が車両技術だけに偏ると、問題の本質を見失う。中心にあるのは、移動を支えるエネルギーの供給体制だ。輸入先の分散や備蓄の強化、輸送ルートの安全確保といった、国全体で進めるべき取り組みが求められている。今回の危機を受け、国際エネルギー機関(IEA)の加盟32か国は、過去最大規模となる4億バレルの石油備蓄を放出する決定をした。市場を落ち着かせる緊急措置だが、現在の供給体制がこうした非常時に依存せざるを得ないほどひっ迫していることを示している。
社会の強さを保つには、特定の技術だけに頼るのではなく、複数の選択肢を維持する姿勢が欠かせない。ひとつの手段に委ねると、予期せぬ事態が起きた際に対応が困難になる。EVかガソリン車かという枠組みに収まる話ではなく、どのような状況でもエネルギーを安定して調達し、届ける仕組みを整えることが重要だ。動力源の形式に関わらず、それを動かすためのエネルギーを確保し続ける視点が必要になる。
ガソリン価格が200円を超えると、人々の行動は目に見えて変わる。最初に起きるのはEVへの買い替えではなく、移動そのものの必要性を問い直す動きだ。不要な移動を控え、燃費の良い車を選び、公共交通を活用する。こうした順序でエネルギーの使い方が変わっていく。過去のオイルショックでも、技術の進歩を待つより先に、人々が自律的に移動量を調節する様子が見られた。
燃料価格の急騰は、移動を誰もが享受できる権利から、支払う対価によって制限されるものに変える。家計の負担が増せば、自由な移動が難しくなり、地方の経済やサービス業にも影響が及ぶ。価格の変動は、車両性能の議論を超え、生活圏や社会のあり方を変える力を持っている。技術による解決よりも先に、生活を維持するための判断が、移動の総量を抑えることになる。