ガソリン200円台! 「EVに乗れば問題なし」は本当か?――ホルムズ海峡危機が映す日本の依存構造とは
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EVへの誤解

ガソリン価格が上がるたび、
「EVに乗れば影響を受けない」
といった議論が繰り返される。しかし現実はそれほど単純ではない。電気もエネルギー源から作られるものであり、日本の発電は天然ガスや石炭に依存する部分が大きい。原油価格が上がれば、時間差をともなって電力料金も上昇する。加えて、国内の車両更新には長い時間がかかる。車は購入後10年以上使われるのが一般的で、燃料価格の急騰で数千万台が短期間に入れ替わることはありえない。
依存先が変わるだけでは根本的なリスクは残る。中東の石油から離れても、電池の原材料を特定の国に頼れば、情勢の変化に左右される構造は変わらない。燃料高騰で家計負担が増す中、無理に高価な車両への買い替えを進めれば、消費余力を奪い、経済全体に影響を与える可能性もある。ガソリンスタンドは長い時間をかけて全国に整備されてきたが、充電インフラはまだ十分とはいえない。価格変動は瞬時に起きるが、社会の交通を支える仕組みを動かすには、経済的な裏付けをともなった慎重な対応が求められる。
今回の事態は、車の種類を議論するだけでは済まない、日本の交通網の脆さを示した。日本はエネルギー資源の大部分を輸入に頼っており、原油価格や輸送ルートの安全、さらに中東の政治情勢が絡めば、国内の燃料価格はすぐに不安定になる。その象徴がホルムズ海峡だ。日本向けの原油の多くがこの海域を通過しており、海峡の安全が確保されなければ、日本の移動も維持できない。
車の技術が進んでも、大元のエネルギーを海外に依存している限り、供給の安定や価格の管理は難しい。EVが普及しても、発電資源を海外に頼れば、リスクは形を変えただけで依存の度合いは変わらない。今回の危機は、目先の車両技術を論じる前に、国家としてエネルギーをどう安定して確保するかという課題を浮き彫りにした。既存の給油網を維持しつつ新しいインフラを整える二重のコストも重くのしかかり、移動を支える基盤そのものが問われている。