「なぜ今さらマニュアル車なのか?」 新車比率2%でも動きが止まらないワケ──“消えゆくはずの技術”に何が起きているのか

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日本の新車市場でMT車はわずか2%。しかしトヨタやスバルは既存技術を活かし高価格モデルを投入。EV化進む中、体験価値を前面に出したニッチ戦略で一台あたり利益を最大化している。

EVシフトとの対立

K-OPEN ランニングプロト2(画像:ダイハツ自動車)
K-OPEN ランニングプロト2(画像:ダイハツ自動車)

 しかし、この戦略には明確なリスクもある。自動車業界の潮流はEV化と自動運転技術の高度化にある。効率や自動化を追求する流れに対し、ドライバーに身体的負荷を求めるMT車は、方向性の上で対立する部分がある。需要の持続性にも不安は残る。

 現在、AT限定免許が主流で、MT車を運転できる層の絶対数は減少傾向にある。都市部の渋滞では頻繁なクラッチ操作が疲労を招き、家族間での共有も難しい。実用面でのハードルは高いままだ。さらに、部品供給網の維持も課題だ。変速機やクラッチ板の製造メーカーは電動車向けに生産を切り替えつつあり、必要な部品を確保する難易度は高まっている。

 各国の環境規制が強化されれば、内燃機関車の販売自体が制限される可能性もある。企業平均燃費規制への対応として、二酸化炭素排出量を他車種で相殺するコストも増す。現状の戦略は長期的な拡大を狙うものではなく、EVへの移行期にのみ成立する、

「期限付きのビジネスモデル」

といえるだろう。

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