「なぜ今さらマニュアル車なのか?」 新車比率2%でも動きが止まらないワケ──“消えゆくはずの技術”に何が起きているのか
日本の新車市場でMT車はわずか2%。しかしトヨタやスバルは既存技術を活かし高価格モデルを投入。EV化進む中、体験価値を前面に出したニッチ戦略で一台あたり利益を最大化している。
既存技術の活用

この戦略を支えているのは、既存の技術資産を最大限に生かしたコスト抑制だ。市場規模が数%に過ぎない領域で、プラットフォームやトランスミッションをゼロから作ることは、投資効率の面で合理的ではない。
スバルの「WRX STI Sport#」に搭載される6速MTユニットは、海外仕様の技術を流用している。開発責任者は「海外仕様の技術やパーツを活用することで、専用開発を最小限に抑えた」としている。日本向けの個別開発を抑えることで、重量も削減され、CVTモデルと比べて走行性能の向上という付加価値を低投資で実現した。
ダイハツの「ミラ イース」をベースにしたカスタム車両も、量産車の車体を生かし、既存のターボエンジンとMTユニットを組み合わせる手法を採用している。さらに現代のMT車は、運転支援システムとの親和性も高い。スバルはアイサイトの技術を応用し、MTモデルでも安全性能を確保。既存のデジタル技術とアナログ機構を融合させ、利便性を損なわない工夫を重ねている。
こうした取り組みは、グローバル生産規模を維持しつつ、特定地域を高付加価値市場として活用する高度な生産管理の実践だ。長年積み上げた歴史的資産を最新の安全基準に適応させることで、新規参入者が追随できない参入障壁を築いている。