「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?
2024年9月の輪軸データ不正で最大約7000両が運行停止となったJR貨物。しかし2025年11月発表の第2四半期決算では、売上1004億円、最終利益3億円の黒字を確保。物流の鉄路依存と脱炭素物流の成長可能性を映す結果となった。
運賃改定と需要構造

運行停止という厳しい状況でも、JR貨物の経営は一定の堅調さを保った。2025年11月10日に発表された2026年3月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比6.1%増の2130億5000万円、営業利益が同2倍の54億4700万円、最終利益が73.4%減の17億9800万円を見込む。記録的雨量による豪雨災害の影響や、物価上昇にともなう想定以上の経費増加のため下方修正を余儀なくされたものの、直近の決算で利益を確保できた背景には、輸送単価の上昇がある。
数年前から段階的に進めてきた運賃改定が実を結び、輸送量が一時的に落ち込んでも収益を維持できる仕組みが整っていた。安全対策の支出増や不祥事による減収も、運賃引き上げによる増収で吸収された。
根本的な要因は、物流業界を取り巻く環境の変化にある。トラック運転手の不足が深刻化し、荷主企業にとって鉄道は代替のない輸送手段となっている。たとえ信頼を損なう問題が起きても需要が途切れないのは、長距離輸送における鉄道の役割が他では補えないほど大きいためだ。
事業の独占性が利益を守ったとの指摘もあるが、旅客会社との線路使用料の仕組みに加え、不動産事業などの収益も影響している。不動産事業は賃貸マンションの竣工・販売が進み、営業利益は24.0%増の59億円と伸長した。負担が一定に抑えられる構造や多角化の成果により、不測の事態でも経営が圧迫されにくい構造がある。この黒字は、不祥事の反省を形にし、将来の安全と効率化に投資するための原資となる。