「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?

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2024年9月の輪軸データ不正で最大約7000両が運行停止となったJR貨物。しかし2025年11月発表の第2四半期決算では、売上1004億円、最終利益3億円の黒字を確保。物流の鉄路依存と脱炭素物流の成長可能性を映す結果となった。

モーダルシフトの逆流

高速道路を走るトラック(画像:写真AC)
高速道路を走るトラック(画像:写真AC)

 運行停止により輸送力が急減すると、多くの荷主企業は緊急措置としてトラック輸送へ切り替えざるを得なかった。これは、近年進められてきたモーダルシフトの流れに逆行する動きともいえる。

 鉄道輸送はCO2排出が少なく、ドライバーの時間外労働規制が強化される「物流の2024年問題」への対策としても期待されていた。政策的にも長距離輸送の鉄道転換は後押しされてきたが、今回の障害は、鉄道が止まると代替手段の確保が容易でないことを荷主に再認識させた。

 SDGs対応として鉄道輸送を選んでいた企業のなかには、不信感を抱いたケースもあるとみられる。鉄道貨物の資産は設備だけでなく、信頼も含まれる。その意味で今回の損失は数字以上に大きい。

 一方で、主力の鉄道ロジスティクス事業では、コンテナ輸送量が7.5%増と伸長を見せた。これは、2025年3月のダイヤ改正による直行列車・深夜便の拡充など、輸送力の強化策が一定の成果を上げている証左でもある。さらに、倉庫機能を軸に多様な輸送モードを組み合わせる総合物流提案にも注力しており、千葉レールゲートの新設が控えている。

 ただ同時に、荷主側にとって自社の環境目標や事業継続が鉄道網の安定に依存していることを理解する契機ともなった。トラック不足が深刻な今、鉄道の重要性は増しており、荷主と鉄道会社の情報共有と協力関係は強まっている。輸送障害の経験を共有したことで、トラブルに強い物流の仕組みを共に作り上げる動きが始まった。

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