「EVはオワコンです」 無邪気に喜ぶネット民と、自動車トップの間に横たわる「深すぎる認識の溝」
日本車の牙城は揺らぐ。10万人規模の調査でネット上の過激発言は高齢者層が中心と示される一方、東南アジアでは中国車が前年比最大14%伸長。伝統と安心に頼る余裕は失われつつある。
ネットの楽観と経営者の危機感

電気自動車(EV)に関する記事には「EVは失敗だ」「日本車の完全勝利だ」「補助金がなくなればEVは売れない」といった否定的なコメントが目立つ。ネット上ではEV批判に同調する読者が「いいね」を連発し、心地よい合唱のような光景が日常的に繰り返されている。
ネット上の自動車ファンとは対照的に、業界内部では深刻な危機感が広がっている。トヨタ自動車出身である、日野自動車の小木曽(おぎそ)聡社長が発した言葉は、ネットの「勝利宣言」を根底から覆す警告である。
日本経済新聞は2026年2月27日、「日野自動車の小木曽聡社長「中国車を安いで片付けるな」」というタイトルの小木曽氏のインタビューを掲載した。そのなかで小木曽氏は、中国メーカーが東南アジアで勢力を拡大している現状に対し、
「日本の会社が『中国は安い』で片付けたら将来はない」
と断言している。日本を代表するメーカーのトップがここまで強い危機感を示す事実は重い。作り手側が中国勢の脅威を認識する一方で、メーカーを応援するはずのファンの一部は「日本車の完全勝利だ」と信じ込んでいる。本稿では、ネット上の楽観と、業界トップが抱く危機感の間にある溝を明らかにする。