「EVはオワコンです」 無邪気に喜ぶネット民と、自動車トップの間に横たわる「深すぎる認識の溝」
日本車の牙城は揺らぐ。10万人規模の調査でネット上の過激発言は高齢者層が中心と示される一方、東南アジアでは中国車が前年比最大14%伸長。伝統と安心に頼る余裕は失われつつある。
ブランド力の限界

小木曽氏は、商用車の領域でも数年以内に競争が激しくなると予測している。商用車は利益を生む道具であり、乗用車のような憧れや趣味は入らない。企業が車を選ぶ基準は、
「1円でも安く、1円でも多く稼げるかどうか」
に集約される。この合理性の前では、日本車のブランド力は影響力を失うかもしれない。
かつて日本車の牙城だった東南アジア市場では、この現実が数字として表れている。2025年の主要6か国における新車販売では、日本車の販売台数は2019年比で約2割減少した。各国での日本車シェアも軒並み縮小し、前年比で3ポイントから8ポイント落ち込んでいる。一方、中国車の勢いは止まらない。インドネシアではシェアが前年のほぼ倍となり14%、タイでも9ポイント増の22%、シンガポールでは13ポイント伸びている。
こうした市場の変化は、ユーザーの意識が情緒的な価値から、徹底した実益へ移った結果である。物流を担う企業にとって、車両は荷物を運ぶための機器にすぎない。中国のEV商用車は、単に走るだけでなく、運行管理やエネルギー効率の最適化に必要なデータ連携機能が優れている。日本車が提供してきた「故障の少なさ」という価値より、中国車がもたらす
「運用の効率化」
という実利が上回る事態が現れている。