「EVはオワコンです」 無邪気に喜ぶネット民と、自動車トップの間に横たわる「深すぎる認識の溝」
日本車の牙城は揺らぐ。10万人規模の調査でネット上の過激発言は高齢者層が中心と示される一方、東南アジアでは中国車が前年比最大14%伸長。伝統と安心に頼る余裕は失われつつある。
「安い」で片付ける思考停止

小木曽氏は前述のインタビューで
「乗用車ほどではないが、商用車も数年で競争が激しくなる。中国車が我々よりも安いままで品質やアフターサポートも良くなれば、日本車のブランドや実績は通用しなくなる」
と警告した。この言葉は業界全体に向けた強烈な警告である。
多くのファンは中国車の安さを人件費の差で説明しようとするが、その認識は現実から大きくずれている。原価に占める人件費は約2割で、日本と中国の給与格差も3倍以下に縮まっており、人件費だけで圧倒的な価格差を生むことはできない。
中国勢の安さの本質は、資源の自国調達能力と部品を徹底的に共通化する仕組みにある。バッテリーやモーターを大量に生産し、多くの車種で使い回すことで開発費を抑え、量産効果を最大化している。一方、日本メーカーは各部品に過剰な精度やこだわりを求め、それが高コストを招く要因となっている。中国メーカーは車両を
「ソフトで制御する道具」
と捉え、ハードを簡素化する発想に切り替えている。この発想の転換が、日本車が長年築いてきた技術的優位を無効化している。「中国製は品質が低い」という10年前の固定観念に頼っている間に、彼らは品質だけでなくアフターサポートも日本車と同等かそれ以上に整えつつある。