なぜインターチェンジ付近には「ラブホテル」が密集しているのか? 高速道路が生んだ非日常空間、夜の闇に浮かぶ異様な景色を考える
夜のIC周辺に目立つラブホテル群。2024年度の届け出は全国4,563軒、1970年の新成人246万人時代の半分以下だ。人口減と消費変化が、かつての娯楽空間を物流拠点へと変えつつある現実を追う。
物流拠点への転換圧力

現在、IC周辺では物流拠点の開発が加速している。ネット通販の急拡大にともない、巨大な倉庫やトラックターミナルの需要が増え、自治体も競うように流通団地や工業団地の整備を進めている。
IC付近はもともとガソリンスタンドや飲食店、娯楽施設が集まる場所だったが、そこに巨額の物流資本が流入した。土地の価値は、利益を生む力という尺度で根本から塗り替えられた。
2005(平成17)年の推計では、ラブホテルは1部屋につき1日2~3組の利用にとどまり(綜合ユニコム「レジャーホテルマネージメント&リニューアル」)、回転率には物理的な限界があった。これに対して最新の物流施設は、24時間休まず稼働し、床面積あたりの収益も安定している。
かつてIC周辺で最も高い地代を支払う力を持っていたのは、個人の衝動に応える宿泊施設だった。だが今は、計算し尽くされた物流網がその座を奪った。ICは、個人の欲求を解消する場所から、社会の仕組みを支える効率的な拠点へと性格を変えている。この収益力の差が、従来の建物を物流施設へと変えていく強い圧力となっている。