なぜインターチェンジ付近には「ラブホテル」が密集しているのか? 高速道路が生んだ非日常空間、夜の闇に浮かぶ異様な景色を考える
夜のIC周辺に目立つラブホテル群。2024年度の届け出は全国4,563軒、1970年の新成人246万人時代の半分以下だ。人口減と消費変化が、かつての娯楽空間を物流拠点へと変えつつある現実を追う。
匿名性と消費心理

高度成長期からバブル期にかけて、ラブホテルの利用には人目を避けたいという心理が強く働いた。IC周辺は生活圏から物理的に切り離されており、知人と遭遇するリスクは低い。ICは特定の歴史や人間関係を持たず、通過すること自体を目的とした空間だ。
ここを走る車はナンバープレートを付けた移動体として扱われ、個人の名前や立場は伏せられる。この匿名性こそ、秘匿性を求める利用者の要求に合致した。
車で直接入室できる構造や、対面を必要としない精算機、部屋選択パネルは、プライバシーを守るために整えられた。1980年代に事件が相次ぎ、監視カメラの設置も進んだが、生活圏から離れた立地の利点は変わらなかった。
近年は女性のひとり暮らしが増え、価値観も変化したことで、シティホテルやリゾートホテルを選ぶ層も増えている。これに対しラブホテル側も女子会やひとり利用、ビジネス目的の客を取り込もうとしている。
だが建物は一度建てれば動かせない固定資産だ。需要の中身が変わっても立地は変えられず、過去の判断で選ばれた場所が今の時代にどう適合するかが問われている。