「機内から29時間出られません」 世界最長空路が突きつける“移動”の極限――あなたの体は耐えられるか?
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上海~ブエノスアイレスを最大29時間・約2万kmで結ぶ世界最長の直行便が始動した。乗り継ぎを減らし市場を近づける一方、燃料、法規、人体負担という現実も突きつける。空の距離短縮は、経済と技術の次の段階を映す。
大陸を横断し半球を結ぶ意味

航空業界は長い時間をかけて、飛べる距離を少しずつ伸ばしてきた。機体の改良や燃費の向上、航法の精度の高まりが積み重なり、その結果として、地球の裏側まで一気に結ぶ便が現実のものになっている。
中国東方航空の上海~ブエノスアイレス線も、そうした流れの延長線上にある。これまで南米へ向かう場合は、ヨーロッパや北米、中東を経由するのが一般的だった。だが今回は、東アジアと南米をひとつの便でつなぐ。乗り継ぎに費やしていた時間が減り、旅程は分かりやすくなる。貨物の扱いも効率が上がる。
意味は移動時間の短縮だけではない。この路線は中国、オセアニア、アルゼンチンを結ぶ新たな空の通り道になる。人の往来に加え、高付加価値の農産品などの輸送にも役立つとみられる。これまで物理的な距離が壁になっていた市場同士が、より近づく。
なお、上海からブエノスアイレスまではオークランド経由で約25時間強。復路は太平洋上の偏西風の影響を受け、最大で約29時間かかる。往復で所要時間が変わる点も、この長距離路線の特徴である。