「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは
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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。
地域経済への可能性

一方で、こうした活動には一定の経済的余裕がある層に地域を知ってもらうきっかけを作り、国内線の路線維持に寄与する側面もある。オホーツク紋別空港では、空港の代理店業務を担う紋別観光振興公社が、往復回数の多い利用者の名前をロビーに掲示する「タッチ回数ボード」を設置するなど、リピーター向けの施策を展開してきた。こうした取り組みによって搭乗率は10%上昇したという。
紋別空港は、かつて主力の一翼を担った札幌便が高速道路の整備などで撤退し、羽田路線のみに縮小された過去がある。2010(平成22)年には需要予測に対する達成率が13%と全国で最低水準にあり、存続が危ぶまれていた。そのような状況下で10%の底上げを実現したことは、大きな成果といえる。ただ、この施策は2021年から2025年の4年間で幕を閉じている。滞在時間が短く、地域に落ちる金額が限定的であったことが、継続を阻む壁となった。
今後は、自治体と航空会社が手を取り合い、現地での滞在がマイレージの獲得に結びつくような体制を整えることが求められる。例えば、宿泊施設や公共交通の利用、レストランの予約に応じて特別ポイントを加算し、複数の名所を巡ることでさらなる優遇が得られる仕組みなどが考えられる。こうした形が整えば、効率よく実績を積みたい利用者と、観光客に地域でお金を使ってほしいと願う地元の期待を同時に満たすことができる。
活発に移動する層は、相応の経済力を持ち、旅行への関心も高い。地域での消費を促す流れを形にできれば、地方に直接的な利益をもたらす機会は広がるはずだ。過度な利用への対策を講じつつ、地域と利用者の双方が満足できる仕組み作りを急ぐべきだろう。