「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは
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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。
地域による影響の差
マイル修行をめぐる問題の本質は、多良間島のように航空便の利便性に移動の全幅を委ねざるを得ない地域において、予約の圧迫が生活基盤を直撃する点にある。こうした離島では、鉄道やバスといった代わりの交通網が全く存在せず、空の便を利用できないことが、移動時間の著しい増大や欠航リスクへの直面を意味する。
沖縄県内でも、那覇からのフェリーが週1便程度に限られる大東諸島や、激しい潮流により船旅が困難とされる与那国島など、海上交通の制約が厳しい島は多い。これらの地域にとって航空機は、暮らしを支える生命線としての役割を果たしており、外部からの利用急増が住民の移動する権利を脅かす形となれば、その負の影響は計り知れない。
対照的に、紋別や但馬のように陸路でのアクセスが確保されている地域や、伊豆大島のように東京都心や横浜から高速のジェットフォイルが頻繁に往来する場所では、空路への依存度が相対的に低いため、多良間線のような深刻な事態は生じにくい。また、現地での滞在時間が極端に短い利用形態も、住民の不満を助長する要因となっている。
今回の多良間空港の事例でも、滞在時間はわずか
「35分」
に過ぎず、島の飲食店や宿泊施設の利用には繋がっていない。到着後すぐに折り返す利用者は、地域経済へ直接的に貢献することが難しく、座席を占有して地元に利益を還元しないという不均衡な構図が、地域社会に強い不平等感を抱かせている。