「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは

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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。

マイル修行が引き起こす問題

飛行機イメージ(画像:写真AC)
飛行機イメージ(画像:写真AC)

 航空会社のマイレージ獲得やステイタス維持を目的として、意図的に搭乗を繰り返す行為は「マイル修行」と呼ばれている。専用カードによる決済やポイント獲得、短時間での複数路線乗り継ぎなど、その手法は多様化しており、こうした活動を促す情報も広く普及した。ただ、航空会社が優良顧客を囲い込むための施策が、地域を支える公共交通としての役割を圧迫し、実生活に深刻な支障を来す事態が2026年に入り表面化している。

 騒動の現場となったのは、宮古島と多良間島を結ぶ琉球エアコミューター(RAC)の路線である。使用機材は50席のターボプロップ機・DHC-8-Q400型で、運航は1日2往復。所要時間はわずか25分という短距離路線だが、多良間島の住民にとっては、生活圏を維持するために極めて重要な価値を持つ。

 島外への移動手段が1日1往復のフェリーに限定されるなか、航空便は移動時間を大幅に短縮し、宮古島への日帰りを可能にする基盤となっている。天候による影響を受けにくく安定した運航が期待できる点も、暮らしや業務を支える上で欠かせない要素だ。

 サトウキビ栽培や肉用牛の生産が主産業である多良間島では、競りや出荷に携わる関係者の往来が地域経済の根幹を成している。この不可欠な路線に異変が生じたのは2026年2月3日のことだった。

 JALが搭乗実績に基づく「Life Status(LS)ポイント」の2倍付与キャンペーンを開始した結果、ポイント獲得を優先する利用者が全国から押し寄せ、限られた座席を奪い合う状況に陥ったのである。

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