「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは

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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。

プログラム設計の副作用

多良間島(画像:写真AC)
多良間島(画像:写真AC)

 今回の宮古~多良間線で起きたマイル“修行僧”をめぐる騒動には、JALのマイレージプログラムの仕組みが直接的に影響していた。プログラムの内容として、会員のステイタス獲得に飛行距離だけでなく、搭乗回数も反映されるようになっている。

 このため、短距離路線を繰り返し利用した方が搭乗実績を効率よく積み重ねやすく、所要時間25分の宮古~多良間線は、“修行僧”にとって極めて価値の高い路線となった。こうした傾向は、沖縄県内の他の離島路線や伊丹~但馬線などでも見受けられる。移動という行為が、ポイント獲得という目的を達成するための手段へと変質し、本来の交通機能が損なわれる事態を招いている。

 一方、ANAでもかつては搭乗回数がステイタス獲得に大きく影響していた。羽田~伊豆大島線は、都内在住者が時間をかけずに搭乗実績を積める路線として人気を集めていたが、やはり本来の利用者が乗れないという問題が生じた。結果として、搭乗回数によるステイタス加算は廃止され、ジェットフォイルとの競合も影響して、2015年10月には羽田~大島線が廃止されている。

 現在も羽田~紋別線など、“修行僧”に知られる路線は存在するが、JALのように地域や利用者に大きな影響を与える事態には至っていない。搭乗者の総量を競うような制度が、限られた輸送資源を本来の利用者から遠ざけてしまう弊害は、航空会社が向き合うべき課題となっている。

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