「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは

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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。

ラウンジでのマナー問題

多良間島(画像:写真AC)
多良間島(画像:写真AC)

 多良間島で表面化したマイル修行やステイタス獲得をめぐる振る舞いは、以前から議論の的となってきた。特に問題視されているのが、空港ラウンジにおける利用者の振る舞いである。

 JALやANAが上級会員向けに提供しているラウンジでは、おにぎりや菓子などの軽食が用意されているが、これらを外部へ持ち帰るために大量に確保する行為が、10年ほど前からメディアでも取り上げられてきた。FRIDAYなどの報道でも指摘されたこうした行動は、限られたサービス資源を一部の利用者が占有してしまう状況を招いている。

 本来、上級会員専用のラウンジは、出張中のビジネスパーソンが仕事に集中するための環境として用意された場所である。ただ、マイル修行を通じて会員数が急増した結果、時間帯によっては激しい混雑が発生し、騒々しくなることもあったという。

 多くの費用や時間を費やして得たはずの地位でありながら、ラウンジで穏やかに過ごせない状況が生まれてしまうのは、提供側の意図から外れた事態といえる。会員の過度な増加によって、サービスの品質が相対的に低下してしまう現状は、航空会社にとって看過できない課題である。

 節度を欠いた持ち帰り行為や、同じ路線の極端な往復利用に対しては、マイレージの加算を制限するといった厳しい対応も検討すべきである。多良間線がキャンペーンの対象外となった事例のように、航空会社は過剰な利用を抑える具体的な措置に踏み切り始めている。JALとANAの両社ともに、上級会員になるための条件は過去に比べて厳格化しており、良識ある利用を求める姿勢を鮮明にしている。

 こうした状況は、一部の利用者による極端な行動が背景にある。マイルを貯め、高い地位を目指す人々は、航空会社を支える重要なリピーターであることは間違いない。だからこそ、自らの行動が周囲の環境や他の利用者にどのような影響を及ぼしているのかを自覚し、適切な範囲で利用することが求められている。

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