「マイル修行」は離島の命綱を奪う? 滞在わずか35分の“タッチ利用”――地域への還元なきキャンペーンの末路とは
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2026年、JALのマイル2倍キャンペーンに全国の“修行僧”が殺到。50席の多良間線は瞬く間に満席となり、住民の通院や肉牛競りに支障が発生。航空会社施策が地域生活を直撃する現実を検証する。
島民生活への打撃
50席という限られた座席数は、キャンペーンの影響により瞬く間に埋め尽くされ、普段から宮古島と多良間島を往来していた住民にとって、予約は極めて困難な状況に陥った。移動が生活の一部となっている島民からは、
「宮古島の病院への術後観察の通院に行けない」
「毎月19日に行われる肉用牛の競りに訪れる購買者が来れない可能性があり、島の経済が不安」
といった切実な声が上がり、地元紙の沖縄タイムスでも報じられる事態となった。
実情として、2月に予定されていた乳幼児健診は、専門職員が島へ渡る手段を確保できなくなったことで3月への延期を余儀なくされた。経済活動の柱である肉牛の競りにおいても、航空券を取れなかった業者が不在となったことで入札競争が鈍り、取引価格が下落するといった悪影響が広がっている。事態を重く見た日本トランスオーシャン航空(JTA)は、当該路線をポイント付与キャンペーンの対象から除外することを決めた。
あわせてJALグループでは、社会的責任を果たす観点から予約の無料キャンセルを認める特別措置を講じた。その結果、2月2日から4日までの期間に約150席分の空席が発生し、そのうち約7割に相当する105席が島民の移動に割り当てられた。また、需要の急騰に対応するため便数も増やされている。
一連の事象は、航空輸送が住民の生存に関わる役割を担う地域において、企業の販売促進活動が暮らしの基盤を揺るがすリスクを浮き彫りにした。