自動車メーカーを襲う「2026年問題」 門外のトラックは“移動する倉庫”だったのか? 在庫ゼロを支えた待機という搾取の終焉
2026年4月施行の改正物流効率化法で、トラック荷待ち時間は原則2時間以内に。年間9万t以上を扱う特定荷主3200社、完成車メーカーも対象となり、経営判断の中枢に物流効率化が突きつけられる。
完成自動車に対する視線の理由
完成自動車の荷待ち時間が長くなりやすい背景は、単純ではない。その要因のひとつは検品作業だ。
・傷の確認、
・グレードの照合
・書類との突き合わせ
自動車の価格帯は数百万が一般的で、1000万を超える取引もあるのだから、慎重にならざるを得ない。完成自動車の輸送では、検品などの付帯作業が約3割の運行で発生している。そのような運行では荷待ち時間も長くなる傾向にあり、平均で
「1時間26分」
長いケースでは数時間の待機を余儀なくされているのが実態だ(国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」)。すると、トラックは荷降ろし場で待つしかない。
この長時間待機の実態には、品質の追求という名目のもと、荷主側が本来負担すべき管理コストを運送事業者の拘束時間に委ねてきた不均衡が潜んでいる。
ドライバーの時間を無償の調整資源として使ってきた経緯は無視できない。また、時間指定の厳格さも荷待ち時間増加の要因に数えられる。納期厳守を前提とした運用の一方で、バースの数は限られ、出荷が特定の時間帯に集中しやすくなる。
ジャストインタイム方式は工場内の効率を高めたが、物流現場には調整の余地が残ったともいえる。工場における徹底した在庫の削減は、工場の門の外側に車両を滞留させること、すなわちトラックを「移動する倉庫」として機能させることで成立してきたのだ。
ただ、これらの整理が紙の上では成り立つとしても、現場で同じように回るかどうかは別の話だ。検品は品質を守る最後の防波堤だが、どこまで効率化してよいのかはジレンマのもとで、その線引きは簡単ではない。しかし、特定の作業領域を不可侵とし、物流側にそのしわ寄せを負わせ続ける構造は、今回の規制によって存続を認められなくなったのである。