9000億円「超巨大計画」が白紙に! 名古屋“ガリバー私鉄”に課された十字架、官民連携で再始動の行方とは

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名鉄が名古屋駅地区再開発計画を白紙化した。敷地3万2700平方メートル、総投資8880億円規模のプロジェクトは、人材不足と工事難易度の高さが原因。人口1000万人規模の中京圏で、兆単位投資を名鉄単独で担う困難さが露呈した。

摂家勢力の変遷

名古屋市の都心部(画像:銀河鉄道世代)
名古屋市の都心部(画像:銀河鉄道世代)

 名古屋を中心とする中京圏は、工業生産と輸出で国内経済を牽引する自立した経済圏である。しかし、首都圏や近畿圏とは異なる地域事情も抱えている。

 中京圏では、首都圏や近畿圏に比べて全国的に知られる企業は少ない。かつて名古屋の大企業、有力企業といえば中京圏に特化した企業であり、いわゆる五摂家と呼ばれた。五摂家は

・名古屋鉄道
・中部電力
・東海銀行
・松坂屋
・東邦ガス

の5社である。

 しかし、東海銀行と松坂屋は業界内の経営統合で名古屋企業ではなくなった。残る3社も鉄道、電力、ガスといった公共インフラ系で、一般的なイメージでは「お役所」に近い存在となっている。五摂家はかつての存在感を失い、この呼称も現在では歴史的なものとなっている。

 近年、かつての五摂家に替わり、

・トヨタ自動車
・JR東海
・中部電力

の3社を「新御三家」と呼ぶ動きがある。しかし、厳密にいえば、トヨタ自動車は名古屋企業ではない。JR東海も本社は名古屋にあるものの、旧国鉄の一部であり、主な事業は東海道新幹線で、首都圏から近畿圏にまたがる路線である。そのため、中京圏に特化した企業とは言い難い。

 注目されるのは、白紙となった今回の再開発事業の当事者であり、かつて五摂家の一角を占めていた名古屋鉄道(名鉄)が、新御三家に含まれていない点である。

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