9000億円「超巨大計画」が白紙に! 名古屋“ガリバー私鉄”に課された十字架、官民連携で再始動の行方とは
名鉄が名古屋駅地区再開発計画を白紙化した。敷地3万2700平方メートル、総投資8880億円規模のプロジェクトは、人材不足と工事難易度の高さが原因。人口1000万人規模の中京圏で、兆単位投資を名鉄単独で担う困難さが露呈した。
1000万人規模工業都市「名古屋」

名鉄による名古屋駅地区再開発計画が白紙となった意味を考えるため、まず中京圏の状況を整理する。
国連が発表した世界都市化予測の最新データによれば、東京都市圏の人口は約3340万人と算出され、世界第3位の規模を有している。かつては長年にわたり首位を維持してきたが、現在はジャカルタなどのアジア圏の巨大都市がその上位を占める状況にある。同様に、国内の主要な集積地である近畿大都市圏や名古屋都市圏も、世界的に見れば依然として有力な市場としての地位を保ちつつも、新興国の急速な都市化に伴い、その相対的な順位を緩やかに下げている。都市圏の範囲や定義にはさまざまな見方があるが、概ね名古屋を中心とする中京圏の規模は、首都圏の4分の1、近畿圏の半分程度に相当する。
一方、国連の定義による名古屋都市圏の範囲とは異なるが、東海財務局の調査「東海地域の経済構造」(内閣府令和3年度県民経済計算などをもとに算出)によると、東海地方(愛知、岐阜、静岡、三重)が全国に占める人口比率は11.8%、県内総生産は12.9%である一方、製造品出荷額は24.8%、輸出額は23.5%に達する。トヨタ自動車などの存在が大きく、名古屋都市圏は工業生産と輸出で国内経済をけん引していることがわかる。
都市圏の規模では首都圏や近畿圏に及ばないが、中京圏は日本国内で自立した経済圏を形成しているといえる。国連定義の名古屋都市圏人口956万人に近い先進工業国には、スウェーデンやオーストリアがある。東京を中心とする首都圏は世界的に見ても巨大で、国内では感覚しにくいが、名古屋は人口1000万人規模の先進工業国の“首都”に匹敵する規模を持つ。
その名古屋で最大規模の再開発計画が白紙になったことは、地域経済にとって重要な出来事である。