高市政権で最悪化する日中関係! トヨタ・日産が直面する中国「戦略資源」報復――サプライチェーン断絶の危機を考える

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初の女性総理の台湾発言で日中関係が急速に冷え込む中、自動車産業は中国依存のサプライチェーンを抱え、レアアースやNEV部材の供給リスクに直面する。企業は短期利益と中長期リスク回避の両立を迫られている。

中国市場の重要性と成長機会

2025年11月26日発表。電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア(画像:マークラインズ)
2025年11月26日発表。電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア(画像:マークラインズ)

 以上を総合的に考えると、中国市場に対する適切な戦略は、すぐに撤退すべき市場と決めつけることでも、依存関係をそのまま維持すればよいと楽観視することでもない。筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)の意見も反対意見も、経済合理性や現実的なリスクに基づく一定の合理性を持つ。

 トヨタや日産をはじめとする日本の自動車産業は、高市政権下で悪化する日中関係と、巨大な中国市場の重要性との間で、非常に困難なバランスを強いられている。

 台湾問題に象徴される中国の核心的利益を巡る政治的緊張は、日本のサプライチェーンの根幹、特にレアアースなど戦略資源の中国依存の脆弱性を露呈させている。経済報復のリスクは無視できず、企業は最悪の事態を想定した経営戦略を立てる必要がある。

 しかし、中国は世界最大の自動車市場であり、NEV分野での成長機会も依然として大きい。この市場から拙速に撤退したり、露骨なデカップリングを進めたりすると、生産コストが上がり、グローバルでの競争力を損なうリスクがある。日本企業が取るべきは、

・リスク回避
・利益享受

を両立させる多角的な戦略である。

 短期的には中国での事業機会を追求しつつ、中長期的には非中国地域からの部材調達比率を高め、生産拠点をASEAN、インド、北米などに段階的に分散することが、最優先の経営課題となる。

 性急な完全撤退ではなく、政治リスクを前提にした、レジリエンス(回復力)の高いサプライチェーン構築が求められるだろう。

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