宅配を支える「軽バン」の稼ぎはなぜ下がるのか? 「時給3000円」目標も夢と消えるオーナードライバー制の制度疲労
軽貨物運送は、軽自動車の小回りを生かし都市部ラストマイルを支える主力だ。だが最大積載350kgの低生産性、運賃低迷、ギグワーク増加による収入圧力、労働権保護の不十分さが課題となり、抜本的制度改革が求められている。
根本的な問題は参入規制の緩さ

誤解を避けるために述べると、個人事業者という働き方自体が問題なわけではない。個人の裁量で必要な収入や体力の余裕に応じて仕事を選ぶライフスタイルは、高齢化が進む日本社会にも適した働き方だ。
運輸業界で個人事業といえば、個人タクシーのドライバーが思い浮かぶ。個人タクシーでは多くの高齢者が活躍しており、柔軟な働き方が労働者のニーズに合致した結果だと考えられる。
ただし、個人タクシーのドライバーと軽貨物ドライバーには重要な違いがある。それは
「市場への参入規制」
だ。個人タクシーには非常に高い参入ハードルが設けられており、容易に許認可を得ることはできない。
一方、軽貨物のオーナードライバーは、軽車両購入などの初期投資を除けば、現状では目立った参入障壁がない。日本は資本主義社会である以上、価格は原則として需要と供給で決まる。そのため、参入障壁を低く保ったまま運賃を適正化するのは容易ではない。
今後、ネット通販による宅配需要は増加し、ギグワークのような柔軟な働き方もさらに活性化する見込みだ。しかしラストマイル配送の担い手である軽貨物運送は、長年の制度疲労により大きな曲がり角に差し掛かっている。以上の課題を踏まえると、
「抜本的な制度見直し」
が必要な時期に来ていると考えられる。