宅配を支える「軽バン」の稼ぎはなぜ下がるのか? 「時給3000円」目標も夢と消えるオーナードライバー制の制度疲労
軽貨物運送は、軽自動車の小回りを生かし都市部ラストマイルを支える主力だ。だが最大積載350kgの低生産性、運賃低迷、ギグワーク増加による収入圧力、労働権保護の不十分さが課題となり、抜本的制度改革が求められている。
規制強化と現実との矛盾

運賃引き上げの動きは歓迎すべきどころか、むしろ遅すぎたくらいだろう。ただ、軽貨物業界の課題を踏まえると、その実現は容易ではない。軽貨物の問題のひとつは、
「積載量の少なさによる生産性の低さ」
である。軽貨物車の積載量は最大でも350kgだ。荷室の制限があると、さらに積載量は低下する。一般的にパレット1個に載るケース数は30個程度だが、軽貨物車では同程度に留まる場合も多い。さらに、安全や品質向上のために車両に各種装備を追加すると、積載重量はさらに削られてしまう。
生産性向上が難しい軽貨物の特性を考えると、「適正原価」を確保するには運賃水準を相当程度引き上げる以外の選択肢は乏しい。この点で、軽貨物の運賃引き上げは普通車以上に困難である。
現状で軽貨物輸送が成り立っている背景には、長時間労働かつ比較的低い収入水準で働く人々がいることも大きい。さらに、近年のギグワークの隆盛も影響している。ギグワークとは、昼間は別の仕事に従事し、休日や夜間のスキマ時間に配送を行う働き方を指す。昼間の仕事で基礎的収入が確保される労働者にとって、副業としての軽貨物配送は安価でも成り立つ。
この働き方自体に問題はない。しかし、ギグワークのドライバーの増加によって、従来のプロドライバーの収入にマイナス圧力がかかることは大きな問題である。