テスラ人気に影? リベラル層が離れ「ハイブリッド人気再燃」――右派CEOの一挙手が波紋に

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イーロン・マスク氏の保守的政治姿勢が、従来リベラル層中心だったテスラ車購入意欲に影響。調査ではリベラル派の購買意向が大幅低下し、EV市場全体への波及リスクも示唆された。

バックラッシュによる市場抑制

論文「リベラル派は、イーロン・マスクに対する認識によって、他の電気自動車よりもテスラを購入する意欲が低い」(画像:Humanities and Social Sciences Communications)
論文「リベラル派は、イーロン・マスクに対する認識によって、他の電気自動車よりもテスラを購入する意欲が低い」(画像:Humanities and Social Sciences Communications)

 研究者らは今回の発見を「ネガティブ・バイアス」と関連付けている。ネガティブ・バイアスとは、人が好意よりも嫌悪感によって強く動機づけられる傾向を指す。リベラル派にとって、マスク氏の政治的行動への否定的な連想は、テスラ車が持つ「環境に優しい」「先進的」といったポジティブな印象を上回る影響を及ぼしている。逆に保守派にとっては、製品カテゴリーに対する懐疑や無関心が、マスク氏に対する潜在的な好意的印象を凌駕している。

 この調査には一定の制約がある。購買意欲を測定したものであり、実際の売り上げに直結するとは限らない。また、テスラ1社とCEO個人に焦点を当てた結果であるため、他企業や他CEOの状況にそのまま適用できるわけではない。スペースXやニューラリンクにおけるマスク氏の活動は、テスラCEOとしての印象とは異なる可能性もある。

 それでも今回の研究は、

「企業トップの政治活動が消費者行動にどのような影響を与えうるか」

を示す新たな視点を提供した。テスラ車への否定的印象が「バックラッシュ効果」としてEV市場全体に波及する可能性は高く、

「今後のEV普及にブレーキがかかるリスク」

も示唆される。この背景には、リベラル層の購入意欲低下が市場全体に影響する構造があると考えられる。

 その懸念を受け、テスラはモデルYの廉価版を発表したが、米国でのEV向け税額控除終了によって価格メリットは相殺される可能性がある。一方、再び人気が高まりつつあるハイブリッド車(HV)は、今後さらに注目されることが予想され、EV市場の成長における不確実性を浮き彫りにしている。

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