「鳴き声うるさい」 ネット批判渦巻く飛行機「ペット同伴」――反対が62%! 高まる旅行需要の狭間で問われる公共性

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2025年、ヴァージン・オーストラリア航空が犬猫の客室同伴を開始。飼い主の心理的安心や旅の利便性向上に加え、移動の公共性や新たな需要層を問い直す社会的実験となる。

筆者の意見

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 筆者(柏木ハンナ、航空ウォッチャー)は、ペットの客室同伴をモビリティの社会的包摂を拡張する

「新しい公共サービス」

と位置づけたい。ペットを家族とみなす意識はすでに一般化している。ペットフード協会の調査では、2023年の犬猫飼育数は約1590万頭。15歳以下の子どもの数(約1430万人)を上回る。数の上で「家族のかたち」が変化していることは、社会全体の価値観の変容を示している。

 飼育数は横ばいである一方、1匹あたりの支出額は増加しており、ペットにかける金額も年々上昇している。調査によると、犬・猫ともに1か月あたりの総支出額は次の通り推移している。

・犬:2019年1万2594円 → 2023年1万6156円(128%増)
・猫:2019年7962円 → 2023年1万171円(128%増)

こうした傾向は、ペットが所有物から、飼い主との関係性を重視する「関係資産」へと変容していることを示している。飼い主の孤独感や社会的つながりの希薄化が進む現代では、ペットは感情的な支えとして、生活の質や心理的安定に大きな影響を与える存在となっている。こうしたなかで、

「ペットと移動する権利」

を整備することは、情緒的な要望ではない。高齢化と単身化が進む社会では、「ペットと暮らす層」が新しい旅行需要を構成し始めている。スターフライヤーの例でも、5万円という高額設定にもかかわらず希望者は多く、ニッチでありながら確実な市場が形成されつつある。心理的安心感や旅の満足度という観点からも、客室同伴は価値を持つ。

 すなわち、ペット同伴搭乗は感情的要求ではなく、新しい移動需要層への制度的対応なのだ。社会的背景や心理的要素を考慮すれば、航空会社が提供する移動サービスのあり方を再考させる重要な契機といえる。

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