テスラ「モデルY廉価版」は成功する? 価格は約607万円~、単なる「安物化」か「普及の突破口」か? 高級モデルとの比較で読み解く
テスラが607万円の廉価版モデルYを投入した。航続距離517kmを確保しつつ装備を簡素化。マスクCEOの2006年プランに基づく「高級 → 普及」の価格階層戦略の第3段階で、EV普及と社会接続を同時に狙う布石である。
意見と反論の統合案

筆者(近澤眞吉、モータージャーナリスト)の意見と反論を統合すると、今回の廉価版EVは市場拡大のメルクマールにすぎず、最終ゴールではない。テスラの戦略を価格競争や量産戦略とみなすのは早計である。マスクCEOのマスタープランにおける最終目標は、自動車販売だけでなく、ゼロエミッションの発電オプションを並行して提供することにある。
廉価モデルは単体の収益源ではなく、ソーラー、蓄電、EVを組み合わせたエネルギーエコシステムへの入口として位置付けられる。消費者は移動手段としての価値に加え、家庭や都市生活での電力利用を含めた体験価値を享受できる。この統合型モデルは、生活利便性の向上、環境意識の醸成、ブランド価値の維持を同時に果たす役割を持つ。
さらに、廉価版導入は収益拡大の手段ではなく、新たな製品・サービスの提供による成長スパイラルを意図している。充電、蓄電、ソーラーを組み合わせた体験を通じ、消費者は
・エネルギーの自立
・環境への貢献
を実感できる。車両販売を超え、社会におけるEVの価値と役割を拡張する布石となる。加えて、この戦略は、ブランド信頼、利益構造、インフラ整備、供給リスク管理のバランスを意識しつつ進められる必要があり、価格低下では得られない社会的価値を生むことも示唆される。