「EV版ラム」開発中止の衝撃――高価格帯EV戦略の終焉か? レンジエクステンダーへの転換が示す、米国ピックアップ市場「現実解」の行方
米自動車大手ステランティスが「Ram 1500 REV」の開発中止を決定。EVピックアップ市場の構造的限界と高価格戦略の失敗が浮き彫りとなり、航続距離690マイルのレンジエクステンダー版で新たな成長軸を模索する。
米国市場の成長鈍化

米国ではピックアップモデルの人気が根強く、EVピックアップは次の成長市場として期待されていた。しかし、実際の販売は当初の想定を下回っている。
現在、米国で販売されるEVピックアップは
・フォード「F-150ライトニング」
・シボレー「シルベラードEV」
・GMC「シエラEVやハマーEV」
・テスラ「サイバートラック」
・リヴィアン「R1T」
などである。
ピックアップのベストセラーはフォード・F-150だが、年間販売台数をパワートレイン別に見ると、ガソリン車は約60万台、ハイブリッド車は約7万台にのぼる。これに対し、EVのライトニングは年間目標15万台に対し、販売は3万台余りにとどまる。GMのEVピックアップも合計で約1万台である。
販売不振の要因として、電池コストの上昇が直接的に影響している。加えてEVピックアップは車両重量が約4000kgと重く、けん引や積載時には航続距離が低下するという課題もある。さらに充電インフラの整備遅れがEV市場全体に影を落とし、長距離移動のユーザーには不安材料となる。
一方、米国におけるEVピックアップの政策環境は、ゼロエミッション化を強く促す乗用車向け規制と比べると緩やかである。そのためメーカー各社にとって、ピックアップの電動化を推進する動機やインセンティブは弱い状況にある。