今どき「AT限定免許」を認めない人は時代遅れ?――でも現実はそんな単純じゃないワケ
国内新車の約99%がAT車となる現状、AT限定免許の合理性は増している。若年層や女性の取得率データも示す通り、全員にMT技能を求める必要は薄い。効率化と人材確保を考慮しつつ、趣味や特定職種に応じた柔軟な免許制度の見直しが課題となる。
AT移行が問う人材戦略

次に、労働市場への影響について考える。
物流業界や介護施設などでは、送迎や配送のために運転免許が求められることが多い。ただし、「MT車を運転できる人材」に限定すると、応募者の数はどうしても減ってしまう。
実際、物流業界では人手不足や効率化の観点から、AT車への移行が進んでいる。AT車は操作が簡単で、運転者の負担を軽くできるうえ、採用の幅も広がる。また、運転技術の習得が比較的容易なため、教育コストの面でもメリットがある。
こうした背景を踏まえると、いまだに「新人はMTで取るべき」と考える組織は、人材獲得の競争において自ら不利な条件を課していることになる。
教習コストや時間の面でも、AT限定免許の方が効率的である。MTコースより数万円安く、技能教習も数時限少なく済むため、若年層にとっては大きな差となる。都市部でほとんど車を運転しない生活者が
「念のため」
にMT免許を取る合理性は低く、不要な時間や費用をかけることは、社会全体の損失にもつながる。