EVに欠かせないレアアース、なぜ日本は「中国依存」に苦しむのか? 輸入6割の供給リスクと対策とは

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日本のEV産業は急拡大する一方で、基幹部品のレアアース依存度は約6割を中国に頼る状況にある。供給停止リスクや価格支配力の圧迫に直面するなか、日本はアフリカ資源開拓や代替技術、リサイクル活用を組み合わせ、10年以上先を見据えた多層戦略で安定供給と競争力維持を狙う。

脱中国へ多角化進む資源戦略

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 リスクを抑えるため、日本は代替調達源の開拓を急いでいる。資源確保の重点はアフリカだ。モザンビーク、マダガスカル、コンゴ民主共和国などには有望なレアアース鉱床が点在する。コンゴ民主共和国は世界のコバルト生産の約7割を担い、EVバッテリーに不可欠な素材を供給している。モザンビークではナカラ港を軸に輸送ルート整備が進み、日本企業も関与する。マダガスカルも希土類鉱床の潜在力が注目を集める。

 一方、アフリカ開発には多くの課題がある。

・輸送インフラの不足
・治安の悪化
・政情不安

が投資の壁となる。これを克服するには、政府開発援助(ODA)を活用したインフラ支援の強化が欠かせない。

 依存関係の再設計は容易ではない。中国は精製技術と価格競争力で優位を保ち続ける。アフリカからの供給網を整えるには時間がかかり、短期で中国依存を完全に解消するのは非現実的だ。現実的には、中国依存を減らしつつリスクを分散する戦略が中心になる。完全な“脱中国”ではなく、多角的なアプローチが必要だ。

 解決策は複数の層にまたがる。第一に、供給源の多角化だ。オーストラリア、カナダ、米国との資源外交を強め、安定した調達ルートを築く。アフリカ回廊のインフラ整備を官民で推進し、長期的な供給基盤を形成する。第二に、技術革新による依存低減だ。レアアース使用量を抑えるモーターやバッテリーの研究開発を加速し、フェライト磁石や代替合金の商用化を進める。第三に、リサイクルと都市鉱山の活用だ。使用済みEVバッテリーからレアアースを回収し、国内の廃棄家電を再利用する。さらに、国家レベルで備蓄制度を整備し、石油備蓄と同様に緊急時の供給を保証する仕組みを整える必要がある。

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