厚さ3mの氷も突破! 北極航路を切り開く「砕氷船」の技術力とは

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厚さ2~3mの氷も砕く砕氷船は、原子力やディーゼル電気の巨大出力を活用し、北極海から南極まで航路を切り開く。日本とロシアの船歴史と最新技術を背景に、極地経済と海洋産業を支える不可欠な存在として進化を続けている。

極地航路を支える砕氷船の実力

ディープフリーズ作戦を支援するために、マクマードサウンドに派遣された米国沿岸警備隊の砕氷船(画像:米国沿岸警備隊)
ディープフリーズ作戦を支援するために、マクマードサウンドに派遣された米国沿岸警備隊の砕氷船(画像:米国沿岸警備隊)

 映画でも知られるタイタニック号は、巨大な流氷に衝突して沈没した。通常の船は厚い氷にぶつかれば、致命的な損傷を受けるリスクがある。氷海を航行するには、特殊設計を施した砕氷船が必要となる。砕氷艦と呼ばれることもある。

 砕氷船の用途は広い。南極や北極の周辺海域、バルト海、北米の五大湖などで

・科学研究
・観光や探検
・捜索救助
・商船の護衛
・石油プラットフォームの氷結防止

など、海洋産業を多面的に支えている。

 性能にもよるが、1.5~2m程度の比較的薄い氷なら、砕きながら進むことが可能だ。ただし限界もある。氷が厚すぎれば砕けずに動けなくなり、救援を要する事態に陥ることもある。

 船の砕氷性能や耐氷性能を示す「アイスクラス」は、国際海事機関(IMO)が定める「極地氷海船階級 PC1~PC7」などが国際基準となっている。砕氷船が氷海で航路を切り開くには、

・強化された船体
・船体形状
・強力な推進力

の三つの要素が欠かせない。

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