EV大衆化に挑む「フォード」 T型以来の革新モデル発表、3万ドル戦略で市場制覇なるか?
米フォードは総額50億ドルを投じ、3万ドル級の低価格EV開発に着手する。新プラットフォームと生産革新でコスト削減を狙い、20世紀T型以来の大衆化に挑むが、中国勢との価格競争や充電インフラ整備など課題も山積する。
米初LFP電池採用の戦略的意義

「ユニバーサルEVプラットフォーム」は、カリフォルニア州拠点の特別編成チーム「スカンクワークス」が開発した。複数車種に共通基盤を提供し、開発・製造コストの削減を狙う。部品数は従来比で20%減らし、性能・効率・コストパフォーマンスを向上させる。ユニバーサルEV生産システムとの組み合わせにより、組立時間は15%短縮。工場内のワークステーション数も40%削減し、大幅なコスト圧縮が見込まれる。
新型ミッドサイズピックアップの配線は、初代電動SUVに比べ全長が約1.3km短く、重量は約10kg軽くなる予定だ。細部にわたって効率化を追求している。
軽量化とスペース確保のため、中国CATLと共同開発したリン酸鉄リチウム(LFP)角形バッテリーを採用する。重心が下がり、室内空間はトヨタ・RAV4を上回る見込みだ。採用するLFPバッテリーは米国初の自動車用LFPセルで、2026年からミシガン州の新工場「ブルーオーバル・バッテリー・パーク」で生産を開始する。LFPはニッケルやコバルトなど高価な資源を使わず、安価で豊富なリンと鉄を原料とするため、コスト削減と環境負荷低減の両立が可能となる。
新プラットフォームは幅広い車種に展開され、フォードのEV事業の拡大とグローバル戦略に大きく寄与するとみられる。