「カーナビ」といえば日本! 世界初の民生品と市場シェア9割の過去――技術革新が切り拓いたスマホ地図時代の始まり

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カーナビの普及が切り開いた「地図」の進化。GPS精度の飛躍と地図データのデジタル化は、ゼンリンを中心に1990年代から加速した。今やスマホや自動運転に欠かせない情報インフラへ。地図が都市と経済を動かす時代、その原点を探る。

カーナビを支えた地図情報の巨人

ゼンリンのウェブサイト(画像:ゼンリン)
ゼンリンのウェブサイト(画像:ゼンリン)

 GPSの精度向上とともに、カーナビの実用性を支えたのが地図情報の品質である。その中心にいたのが、前述のゼンリンだ。

 ゼンリンは戦後から住宅地図の制作に取り組み、1980(昭和55)年までに全国47都道府県すべてで地図発行を完了していた。地図は当時、熟練職人の手作業で描かれていたため、全国展開は難しかった。そこで同社は1980年代初頭から地図のコンピュータ化に着手し、1984年には東京23区の住宅地図をコンピュータ編集で制作するなど、先進的な技術革新を推進した。

 また、企業や官公庁のニーズに応え、住宅地図のデジタル提供を開始。磁気テープからCD-ROMへと進化し、これが後のカーナビ用地図ソフトの基盤となった。

 1990年代初頭、ゼンリンは三菱電機の依頼でカーナビ専用地図ソフトを開発した。これが各社のカーナビに採用され、市場拡大に寄与した。

 端末メーカーはハードや操作性で差別化を図ったが、地図データはほぼゼンリンが独占。高精度かつ頻繁な更新が求められる地図制作は参入障壁が高く、同社の優位は長く続いた。

 位置情報を示すだけでなく、正確なルート案内を可能にする地図ソフトは、カーナビの価値の根幹であった。つまり、ゼンリンなしにカーナビ市場は成り立たなかったのである。

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